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この日は夏の盛りで、特にこのコースは日差しをまともに受けます。それでも、この時期にしか咲かないツル性の花が群生しています。センニンソウ、ボタンヅル、ヘクソカズラ、テイカカズラなどです。岩盤を登っていくとその間に所々、きれいな黄色のヒキヨモギが目立ちました。
この頃からキク科の花が咲き始めますが、シラヤマギク、ゴマナ、シロヨメナは枝先に花を水平にたくさん咲かせます。シラヤマギクの葉は下に行くほど大きくなり、シロヨメナの葉は3脈が目立ち、ノコンギクは葉がやや小さく、両面ともザラザラです。シソ科も咲き始めますが、ヤマジソは小さな花を穂状に、トウバナは階段状に、ミヤマトウバナは葉の上に、一段しか咲きません。花は以下の如くです。
ヒキヨモギ ヤマジソ
ホタルサイコ ミヤマトウバナ
オヤマボクチ トウバナ
タムラソウ ヘクソカズラ
ノハラアザミ アカネ
シラヤマギク ハマゴウ
ヒヨドリバナ イケマ
カセンソウ カラスウリ
ノダケ カナムグラ
コカモメヅル センニンソウ
キツネノカミソリ ボタンヅル
オトコエシ オトギリソウ
カラマツソウ
平成27年8月27日 角田山稲島コース
登山口から登ってすぐの道の両側は赤紫のツリフネソウと黄色のキツリフネが群生していて、少し登るとイラクサ科のミヤマイラクサ、カラムシ、アカソ、コアカソが群生していました。これらはあまり目だだないので、今では刈られていなければと思っています。中腹には、アカネ、イケマ、アオツヅラフジなどのつる性の植物が低木の上に絡み合っていました。
ツル性の植物は多くあり、区別が付きにくいですが、イケマは葉が卵型で、小さな白い花を球状に咲かせ。アカネは小さな白い花をまばらに咲かせ、葉は小さく4輪生となっています。見た花は以下の如くです。
ツリフネソウ アケボノソウ
キツリフネ ヤマゼリ
イケマ アオツヅラフジ
ヤマホタルブクロ ゲンノショウコ
ノブキ イラクサ
シシウド アカソ
ノコンギク コアカソ
アキノノゲシ シラヤマギク
アカネ オオカニコウモリ
ミズタマソウ
トウバナ
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夏の真っ盛りなので、夏に咲く花が勢ぞろいします。いたるところにコオニユリやクルマユリが見られ、登り始めると背の高いオカトラノオ、ヒヨドリバナ、サワヒヨドリが迎えてくれます。下を見やると、クルマバナ、キンミズヒキが群生していて、所々には小さなかわいらしい沢山の黄色い花を咲かせるホタルサイコに、また、一点、可憐なカワラナデシコにも出合いました。
非常に間違いやすいのはサワヒヨドリとヒヨドリバナの違いです。サワヒヨドリは花の色が淡紅紫色で葉は3脈が目立ち、茎は枝分かれしません。ヒヨドリバナは花の色は白色で茎は枝分かれしています。フジバカマの葉は葉の根元で3裂しています。この時観察された花の次の如くです。
クルマバナ ヤマゼリ(花)
ボタンヅル ホタルサイコ
クサフジ ヤマホタルブクロ
クガイソウ キバナハタザオ
カセンソウ オトギリソウ
ヤマハッカ ナキミソウ
平成27年8月6日 角田山浦浜コース
この時期のこのコースは何といってもキツネノカミソリの群生です。それでも時期をずれると枯れた花が目立ちますので、ちょうど満開の時期でした。春に葉を茂らせていたところに、花をいっぱいに咲かせていました。ここはオトコエシが所々に大きな固まりで迎えてくれますが、ふと、下を見ると、小さなかわいい白い花を咲かせるミズタマソウを見つけます。
オトコエシとヤマゼリなど、小さな白い花を固まって咲いているところを見るとなかなか区別ができません。そういう時は葉を見て区別します。オトコエシの葉は対生し、楕円型でやや、羽状に分裂しています。ヤマゼリの葉は羽状複葉で、花は咲き方は複散形花序でシシウドと同じ咲き方です。観察された花は以下の如くです。
キツネノカミソリ ヒメジソ
オトコエシ ウバユリ
ヤマゼリ ツリガネニンジン
ノニガナ クガイソウ
ヤマホタルブクロ オトギリソウ
ミズタマソウ オヤマボクチ
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初夏のこのコースはいろいろな花でいっぱいですが、特に目を楽しませてくれるのは、オカトラノオの群生です。そして、似たような花として、白一色のヤマブキショウマやアカショウマが目につきます。その中で、ある一か所に濃い紫色のノハナショウブが咲いていて、花期が短いので見られるのがラッキーでした。
トリアシショウマとヤマブキショウマ、アカショウマの区別がなかなかできませんが、ヤマブキショウマは葉の基部がくさび型で、葉脈が平行になって縁まで達していることです。トリアシショウマは葉の基部が心型で、茎がしっかりしていてトリノアシに似ているからです。アカショウマは茎が赤くなっています。見られた花は以下のごとくです。
ノビル キリンソウ
ツルキジムシロ ヤマブキショウマ
ナワシロイチゴ アカショウマ
クルマバナ ヤマホタルブクロ
カセンソウ ヤマアジサイ
平成27年7月9日 角田山稲島コース
このコースは、登山口からお地蔵様までの登山道の両側の下をよく見ると、いろいろな小さな花が咲いています。最近、刈られてしまって残念でなりませんが、クルマバナやヘビイチゴの黄色の花が咲いています。その中でも、小さくてピンク色の可憐な花が茎にちょこんとついているハエドクソウが印象的でした。少し登ると遠くに背の高い、白い花をたくさんつけているタケニグサに出会いました。
イチゴの種類の区別はわかりにくく、いつも悩みます。ノウゴウイチゴの葉は倒卵形で鋸歯はやや粗く、シロバナノヘビイチゴの葉は楕円形で鋸歯はとがり、葉脈はくぼんでいます。ヘビイチゴはシロバナと似ていますが、葉脈はへこんでいません。ニガイチゴの葉は三裂していて、クサイチゴの葉の鋸歯は重鋸歯です。見られた花は以下のごとくです。
クルマバナ マタタビ(花)
ヘビイチゴ ウバユリ
タケニグサ
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平成27年5月13日 ホタルの里コース
初夏のこのコースは樹林帯の中を歩くので木本性の花が多く、ヤマツツジ、タニウツギ、ツクバネウツギがカラフルに目線の上から覆ってきます。しかし、それだけでなく、下に目をやると、ササバギンランや、シュンランを見つけることができ、所々に鮮やかな黄色のキンポウゲが目に入ってきます。
ジシバリの葉は円形で鋸歯はないですが、オオジシバリは長楕円形で鋸歯があります。
ヤマニガナは茎葉はひし形で葉柄に翼があり、ノニガナは葉が矢じり型で茎を抱きます。観察した花は下記のごとくです。
シュンラン キンポウゲ
ヤマツツジ ツクバネウツギ
コウゾリナ ノニガナ
この時期は登山口に差し掛かる車道のわきに濃い赤紫のクサフジが一面に群生して目を見張らせます。海岸から切り立った崖にはスカシユリやハマエンドウ、アサツキが点々と咲き、少し登ったところにはハマボッス、テイカカズラ、コマツナギなどが並んで迎えてくれます。
カラマツソウの種類は花が白く、糸状なので見分けがつきにくいですが、葉で区別できます。アキカラマツは葉の形が円形で、ミヤマカラマツは楕円形で鋸歯があり、カラマツソウは倒卵形で先端が粗く三裂しています。観察された花は、以下のごとくです。
スカシユリ ジャコウソウ
ハマボッス ウツギ(花)
テイカカズラ シラキ(花)
ハマエンドウ メノマンネングサ
クサフジ アカショウマ
アサツキ ミヤマカラマツ
クルマバナ ヤマツツジ
ホタルブクロ
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この時期のこのコースは春の花で満開です。カタクリはやや枯れていますが、エチゴキジムシロやトキワイカリソウが一面に咲いていて、所々にイチリンソウが目立っています。また、道沿いに紫色のサクラソウやアケビの花が色取りを添えていました。桜尾根はいつもそこにしか咲かないサンカヨウが群れて咲いていて、また、白いカタクリの花もみられて圧巻でした。
アケビには五葉アケビとミツバアケビがあり、ミツバアケビは葉が大きいですが、アケビの花は赤茶色であまり目立ちません。エチゴキジムシロはキジムシロと違って複葉ですが、小葉の数は5枚しかありません。この地域特有のものです。観察者の中には、サンカヨウを見にこのルートに来る人もかなりいます。ここで見られた花は、下記のとおりです。
サクラソウ オドリコソウ
エチゴキジムシロ ニョイスミレ
カタクリ (桜尾根コース)
ヤマエンゴサク トキワイカリソウ
カンスゲ キクザキイチゲ
初夏のこの時期は、この時に咲き出す花も多く、色鮮やかになります。特に、木本科のツクバネウツギやヤマツツジ、ミヤマガマズミの花が目線より上の視界に広がり、夏を感じさせます。ちょうど、ラショウモンカズラの盛りの時に出くわし、初めて、群生した実物を見て感激しました。
登山道の足元にいつも見慣れた、あまり目立たない小さな黄色い花を見過ごしてしまいます。これはニガナですが、よく見ると、同じようでも違った種類に出くわします。よく見るニガナは花弁が5枚で、葉は披針形で、基部の方では茎を抱きます。ハナニガナは花弁は2倍多く、葉もやや大きく、基部で茎を丸く抱きます。ノニガナは、葉が矢じり型で、先がとがり、茎を刺し込んだような形です。ヤマニガナの葉は、基部の方で葉の先が三角状にとがり、かかしのような形をしています。今回観察された花は、下記のごとくです。
ツクバネウツギ エチゴキジムシロ
ハママンネングサ サクラソウ
クルマバソウ ミヤマガマズミ(花)
ノアザミ (桜尾根コース)
アズキナシ(花) ラショウモンカズラ
ジシバリ ツルカノコソウ
ノニガナ クルマバソウ
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平成27年3月18日 角田山浦浜コース
早春の花、エンレイソウ、キクバオウレン、ナニワズ、キクザキイチゲ、オオミスミソウ、カタクリなど点々とが咲きだしていました。まだ、花が少ないので鮮やかな印象はありませんが、その中でも、キクバオウレンが小さな、可憐な花を精いっぱい咲かせていたのがきれいでした。このコースの登山口は湿地帯でシダ類が多いので、種々のシダが迎えてくれました。
ここはキツネノカミソリの群生地なので夏に咲く花に先駆けて葉が密生して茂っていました。ニリンソウの葉も花に先駆けて茂っており、所々、冬にも枯れないコシノカンアオイの葉があり、その根元を探ると土色の目立たない花を見つけることができます。
観察された花は以下の通りです。
キクバオウレン キツネノカミソリ(葉)
ナニワズ ヤマアイ
ヒメオドリコソウ シダ類
オオイヌノフグリ ヤブソテツ
キクザキイチゲ リョウメンシダ
ニリンソウ(葉) カタイノデ
オオミスミソウ オシダ
カタクリ コシダ
コシノカンアオイ
平成27年4月9日 角田山湯の腰コース
登山口付近にネコノメソウ、トウダイグサ、そして、登ったすぐにミヤマカタバミ、ニリンソウが群生していました。湿地帯を越え、乾燥した登りが続くと、タチツボスミレ、エンゴサクの仲間が咲き乱れ、所々にミスミソウ、エンレイソウ、カタクリ、キクザキイチゲが目を楽しませてくれました。
エンゴサクの仲間でここでよく見えるのはヤマエンゴサクとエゾエンゴサクの二種で、ヤマエンゴサクの葉は鋸刃はなく、やや丸く、エゾエンゴサクの葉は鋸刃がなく細長くなっています。他のコースで見られるミチノクエンゴサクの葉はもっと細く、小さく、花自体も小さくなっています。ちなみに、ジロボウエンゴサクの葉は先が浅く三つに裂けています。見られた花々です。
カタクリ キブシ(花)
ミヤマカタバミ ヤマエンゴサク
ネコノメソウ シロザ
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平成26年10月18日 角田山五カ峠コース
前回もこのコースを登りましたが、今日、全国の花の百名山を回っている全国的組織の観察団体が角田山五カ峠コースにやってきましたので、同行させていただくことにしました。観察者は30名ほどで、全国からきており、彼らの話では、この山は薬草が有名で、昔は富山から毒消薬を求めてきていたそうです。
薬用のサンショウが沢山あり、サンショウは匂いがよく、他のサンショウと違って枝のとげが対生に生えています。カラスサンショウは幹のとげが鋭く、サンショウはいぼ状です。ヤマノイモのムカゴや根は食べられますが、トコロとの違いは根に節があることです。ナンブアザミの葉は切れ込みが少なく、総苞は粘着せず、総苞片は反り返りますが、モリアザミは総苞にクモ毛があり、総苞片は大きく、外に開出しています。ハナワラビが群生して咲いていました。観察された主な花は以下のごとくです。
ナンブアザミ オクトリカブト
ハナワラビ(花) カマツカ(実)
平成27年3月4日 角田山稲島コース
春が早いので、咲いている花は少なく、シダ類が目立ちました。エビヅル、ヘビイチゴ、アケビ、タチドコロなどの葉が見えましたが、アケビ、ミツバアケビはまだ、花が少し早いのか、葉だけでした。
早い春を代表するコオニタビラコ、ミヤマカタバミなどが咲いていましたが、特にコオニタビラコは小さなロゼット状の葉の上に非常に短い茎の花を咲かせます。コオニタビラコ、ヤブタビラコは春に花を咲かせますが、オニタビラコは秋にも咲かせます。以下は観察されたものです。
ヘビイチゴ ジャノヒゲ(実)
アケビ オサシダ
ミツバアケビ ナライシダ
ヤマアイ ツルデンダ
タチドコロ(葉) イワガネソウ