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この時期のこのコースは春の花で満開です。カタクリはやや枯れていますが、エチゴキジムシロやトキワイカリソウが一面に咲いていて、所々にイチリンソウが目立っています。また、道沿いに紫色のサクラソウやアケビの花が色取りを添えていました。桜尾根はいつもそこにしか咲かないサンカヨウが群れて咲いていて、また、白いカタクリの花もみられて圧巻でした。
アケビには五葉アケビとミツバアケビがあり、ミツバアケビは葉が大きいですが、アケビの花は赤茶色であまり目立ちません。エチゴキジムシロはキジムシロと違って複葉ですが、小葉の数は5枚しかありません。この地域特有のものです。観察者の中には、サンカヨウを見にこのルートに来る人もかなりいます。ここで見られた花は、下記のとおりです。
サクラソウ オドリコソウ
エチゴキジムシロ ニョイスミレ
カタクリ (桜尾根コース)
ヤマエンゴサク トキワイカリソウ
カンスゲ キクザキイチゲ
初夏のこの時期は、この時に咲き出す花も多く、色鮮やかになります。特に、木本科のツクバネウツギやヤマツツジ、ミヤマガマズミの花が目線より上の視界に広がり、夏を感じさせます。ちょうど、ラショウモンカズラの盛りの時に出くわし、初めて、群生した実物を見て感激しました。
登山道の足元にいつも見慣れた、あまり目立たない小さな黄色い花を見過ごしてしまいます。これはニガナですが、よく見ると、同じようでも違った種類に出くわします。よく見るニガナは花弁が5枚で、葉は披針形で、基部の方では茎を抱きます。ハナニガナは花弁は2倍多く、葉もやや大きく、基部で茎を丸く抱きます。ノニガナは、葉が矢じり型で、先がとがり、茎を刺し込んだような形です。ヤマニガナの葉は、基部の方で葉の先が三角状にとがり、かかしのような形をしています。今回観察された花は、下記のごとくです。
ツクバネウツギ エチゴキジムシロ
ハママンネングサ サクラソウ
クルマバソウ ミヤマガマズミ(花)
ノアザミ (桜尾根コース)
アズキナシ(花) ラショウモンカズラ
ジシバリ ツルカノコソウ
ノニガナ クルマバソウ
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平成27年3月18日 角田山浦浜コース
早春の花、エンレイソウ、キクバオウレン、ナニワズ、キクザキイチゲ、オオミスミソウ、カタクリなど点々とが咲きだしていました。まだ、花が少ないので鮮やかな印象はありませんが、その中でも、キクバオウレンが小さな、可憐な花を精いっぱい咲かせていたのがきれいでした。このコースの登山口は湿地帯でシダ類が多いので、種々のシダが迎えてくれました。
ここはキツネノカミソリの群生地なので夏に咲く花に先駆けて葉が密生して茂っていました。ニリンソウの葉も花に先駆けて茂っており、所々、冬にも枯れないコシノカンアオイの葉があり、その根元を探ると土色の目立たない花を見つけることができます。
観察された花は以下の通りです。
キクバオウレン キツネノカミソリ(葉)
ナニワズ ヤマアイ
ヒメオドリコソウ シダ類
オオイヌノフグリ ヤブソテツ
キクザキイチゲ リョウメンシダ
ニリンソウ(葉) カタイノデ
オオミスミソウ オシダ
カタクリ コシダ
コシノカンアオイ
平成27年4月9日 角田山湯の腰コース
登山口付近にネコノメソウ、トウダイグサ、そして、登ったすぐにミヤマカタバミ、ニリンソウが群生していました。湿地帯を越え、乾燥した登りが続くと、タチツボスミレ、エンゴサクの仲間が咲き乱れ、所々にミスミソウ、エンレイソウ、カタクリ、キクザキイチゲが目を楽しませてくれました。
エンゴサクの仲間でここでよく見えるのはヤマエンゴサクとエゾエンゴサクの二種で、ヤマエンゴサクの葉は鋸刃はなく、やや丸く、エゾエンゴサクの葉は鋸刃がなく細長くなっています。他のコースで見られるミチノクエンゴサクの葉はもっと細く、小さく、花自体も小さくなっています。ちなみに、ジロボウエンゴサクの葉は先が浅く三つに裂けています。見られた花々です。
カタクリ キブシ(花)
ミヤマカタバミ ヤマエンゴサク
ネコノメソウ シロザ
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平成26年10月18日 角田山五カ峠コース
前回もこのコースを登りましたが、今日、全国の花の百名山を回っている全国的組織の観察団体が角田山五カ峠コースにやってきましたので、同行させていただくことにしました。観察者は30名ほどで、全国からきており、彼らの話では、この山は薬草が有名で、昔は富山から毒消薬を求めてきていたそうです。
薬用のサンショウが沢山あり、サンショウは匂いがよく、他のサンショウと違って枝のとげが対生に生えています。カラスサンショウは幹のとげが鋭く、サンショウはいぼ状です。ヤマノイモのムカゴや根は食べられますが、トコロとの違いは根に節があることです。ナンブアザミの葉は切れ込みが少なく、総苞は粘着せず、総苞片は反り返りますが、モリアザミは総苞にクモ毛があり、総苞片は大きく、外に開出しています。ハナワラビが群生して咲いていました。観察された主な花は以下のごとくです。
ナンブアザミ オクトリカブト
ハナワラビ(花) カマツカ(実)
平成27年3月4日 角田山稲島コース
春が早いので、咲いている花は少なく、シダ類が目立ちました。エビヅル、ヘビイチゴ、アケビ、タチドコロなどの葉が見えましたが、アケビ、ミツバアケビはまだ、花が少し早いのか、葉だけでした。
早い春を代表するコオニタビラコ、ミヤマカタバミなどが咲いていましたが、特にコオニタビラコは小さなロゼット状の葉の上に非常に短い茎の花を咲かせます。コオニタビラコ、ヤブタビラコは春に花を咲かせますが、オニタビラコは秋にも咲かせます。以下は観察されたものです。
ヘビイチゴ ジャノヒゲ(実)
アケビ オサシダ
ミツバアケビ ナライシダ
ヤマアイ ツルデンダ
タチドコロ(葉) イワガネソウ
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平成26年9月17日 角田山湯の腰コース
この時期は秋の真っ盛りで、登山口に行くまでの農道ではミゾソバ、ママコノシリヌグイが足元に、ツリフネソウ、ヒヨドリバナなどが両側に、登山口ではノブキが群生して、中腹にかけては、代表的なものとしてオヤマボクチ、モリアザミ、ヒメヒゴタイ、ノダケなどが所々に咲いていました。中腹のある場所にハグロソウが一つ咲いていてとてもかわいい姿でした。
ここで観察できた花は以下のごとくです。ママコノシリヌグイの葉は三角形で、ミゾソバの葉は二本の角がちょこんと出た牛の顔のような形です。アキカラマツの花は黄白色で円錐花序に、カラマツソウは白色で散房状につき、コカラマツは黄白色でアキカラマツに比べて花がまばらです。
オクモミジハグマ アカネ
ハナダテ ハッカ
ママコノシリヌグイ ダイコンソウ
ゲンノショウコ チヂミザサ
オヤマボクチ ノダケ
キツリフネ シシウド
ツリフネソウ ハグロソウ
アキノノゲシ コカラマツ
モリアザミ ミズタマソウ
ツリガネニンジン オオバチドメ
ヒメヒゴタイ ノブキ
ヒヨドリバナ アレチウリ
平成26年9月24日 角田山五カ峠コース
ここも秋の典型的な花が咲き誇っています。ところどころにクロバヒキオコシ、ミヤマママコナ、オオトウヒレン、ナンブアザミ、オオカニコウモリ、シラネセンキュウ、時期遅れでクルマバツクバネソウ(黒紫色の液果だったのかもしれません)などが咲いていました。
咲いていた花は以下の通りですが、ヒキオコシは花の咲く枝が枝分かれし、さらにその枝が枝分かれして咲きますが、ヤマハッカは枝分かれしたら、それ以上枝分かれしません。オオカニコウモリの葉は大型の五角形で、カニコウモリはカニの甲羅のよう、コウモリソウはコウモリが飛んだような三角状で、ヨブスマソウは三角状で葉柄に翼があります。
クロバヒキオコシ シシウド
ヒキオコシ シラヤマギク
オトコエシ ゴマナ
キバナノアキギリ ミゾソバ
オヤマボクチ シラネセンキュウ
タムラソウ ヤマゼリ
オオトウヒレン メナモミ
ヒヨドリバナ ヤブタバコ
オオカニコウモリ チヂミザサ
ノブキ アキノキリンソウ
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この時期の灯台コースは夏から秋にかかる植生で、真夏には見られなかった花が数多く咲き乱れて最高の時期です。特に、登山口ではセンニンソウ、ボタンヅル、ヒヨドリバナなどが迎えてくれ、海岸の斜面には紫のきれいなハマゴウが所々に咲いています。
中腹にはナンブアザミ、タムラソウ、ノダケ、シシウドと秋を思わせる花とともに頂上近くにはテンニンソウが登山道の両側に群生して私たちを飽きさせません。
以下に記しているのは、その時見られた花です。毎年、同じ時期に同じコースを登りますが、若干、観察した花々が年によって違っています。それは年々、観察する日が少しずれているので咲く花も違ってきます。また、その時見落とした花が今回みられるということもありますし、花に対する知識が増え、それが観察する花の数を増やすことにもなっています。ですから、いつ行っても違った花がみられるという興味津々の山がこの角田山です。
ハマゴウ ノダケ
ガンクビソウ ヤブマオ
ナンブアザミ クルマバナ
タムラソウ オヤマボクチ
キセワタ シラヤマギク
アゼナ ソバナ
ボタンヅル カントウヨメナ
ヒメジソ シシウド
セキヤノアキチョウジ ハチジョウナ
テンニンソウ クズ(花)
ナンテンハギ オトコエシ
平成26年9月10日 角田山稲島コース
登山口に入るや否や一段とめだってくるのが、秋を告げるキバナツリフネや紅紫のツリフネソウ、キバナアキギリです。それと、小さなかわいい花を咲かせるヒメジソやイヌコウジュが足元に群がっています。その上段にはイラクサやミヤマイラクサの小さな目立たない花が髭のように頂上から伸びています。
下記はその時見られた花の種類です。
オオカニコウモリ シラヤマギク
キバナアキギリ ゴマナ
ミヤマトウバナ ヒヨドリバナ
ヒメジソ ノブキ
イヌコウジュ カントウヨメナ
ミヤマイラクサ シシウド
アカソ ツリフネソウ
ミヤマニガウリ キバナツリフネ
オオダイコンソウ ヨブスマソウ
ノダケ アカネ
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平成26年7月30日 角田山五倫コース
このコースは稲島コースに沿っていて、登山口が芭蕉の句碑と弘法清水がありますが、少しわかりにくいです。頂上付近でホタルの里コースと合流し、そこまでは稲島コースと似ていて、光が木々に遮られ、湿気が多く涼しく感じられます。しかし、湿ったところでしか見られないシダ類などが密生しています。そして、少し遠いところで点々とみられるヤマユリやクルマユリがきれいでした。
ミズヒキ ヤマトウバナ
オトコエシ ヤブラン
ダイコンソウ クサギ(花)
イヌトウバナ ミヤマタムラソウ
8月29日 角田山浦浜コース
この時期の浦浜コースは何といってもキツネノカミソリで、それらが中腹から合流点まで両側斜面いっぱいに咲き乱れています。よく見ると葉はありませんが、葉は春に茂り、花のための栄養を蓄えて枯れていきます。一面のオレンジ色が圧巻で、ところどころ、オトコエシやシシウドなどが白い色どりをそえています。ここは日差しが直接強く当たらないので夏でも歩きやすい。
ミズヒキ ヤマセリ(花)
ヤブマオ カラマツソウ
イワショウブ シシウド
タムラソウ ナンテンハギ
ホタルブクロ(白花)ヤマハギ
ツリガネニンジン オトコエシ
ヤクシソウ キツネノマゴ
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平成26年6月11日 ホタルの里コース
このコースは7つのコースの中で一番長いですが、日差しが暑くても木々に囲まれているので涼しく、ゆったりしてなだらかなので歩きやすい道です。広葉樹が多いのでウツギ、イボタノキ、ヤマツツジ、ガマズミなどの木々の花が咲き乱れています。ここはヤマユリが有名で、所々にヤマユリが大きなつぼみをつけて花を咲かせようと待っています。
イワガラミ ヤマボウシ(花)
ヤマブキショウマ ガマズミ(花)
ウツギ(花) スイカズラ
イボタノキ(花) ヤマツツジ
オオバイボタ(花) ホソバノキリンソウ
夏に入ると、なんといっても目に付くのはオカトラノオやコマツナギの群生です。ヤマホタルブクロやクガイソウ、ホソバノキリンソウも所々にみられ、楽しませてくれます。また、桜尾根では、ヤマアジサイが長い距離にわたって、群生しているのはここだけで、静かで涼しい雰囲気を漂わせます。
オカトラノオ キンギンボク(花)
カセンソウ ゴマギ
オオバギボウシ 桜尾根コース
ヤマホタルブクロ ヤマアジサイ
ウツボグサ オオヤマレンゲ(花)
トウバナ クガイソウ
ヒヨドリバナ ヤマホタルブクロ
ホソバノキリンソウ ウツボグサ
イボタヒョウタンボク(花) ゴマギ